今頃の時期になると、さまざまな女性誌が占い特集を組んでいるのをみかけるよね。とくに某紙では政治・経済・スポーツ・芸能ネタにいたるまで、著名な占い師たちが、今年後半の運勢(?)を占うんだけど、それぞれ言っていることが違ったりして、けっこうおもしろい。女性誌にかぎらず、経済誌なんかも年頭になると、よくその年の予測なるものをだしているよね。もちろんこっちは占いじゃなくて、その道の専門家による予測だけど。
誰でもこれから自分や世の中がどう変わってゆくのかは気になるよね。会社でも経営していれば、未来の流れをある程度予測する能力は必須といってもいい。そういう意味では、東洋・西洋の統計学を使った占いも遊びでやるぶんにはいいけど、仕事や人生のさまざまな出来事に応用するとなるとその的中率はかぎりなく怪しい。だから人生相談や経営コンサル業が繁盛するんだろうけど、その質もピンキリだったりするんだよね。
じつは時代の流れを読んで、その流れにのるにはコツがある。
テレビをみていると、日々さまざまなニュースが流れてくるけど、世の中で起きるさまざまな出来事の根底には、時代を動かすおおいなる意志とでもいうべき、方向性をもった大きな流れがあるんだよね。
たとえば織田信長。
信長は室町幕府を滅ぼし、全国統一に王手をかけたにもかかわらず、あと一歩というところで明智光秀の裏ぎりによって、あえない最期をとげたよね。いろいろな説があるけど、信長は時代の意志に殺されたのだと思う。
これはどういうことか?
日本の権力構造は中空平衡構造だといわれるよね。たしか久保紘之氏も「田中角栄とその弟子たち 日本権力構造の悲劇」の中で書いていたと思う。
中空平衡構造っていうのは、権力を一極集中させるのではなく、権力構造の中心となる部分に象徴となる無垢な童子を置いたり、場合によっては文字通り空洞にしておくんだよね。そして実際に権力に携わる武将や政治家などの人間が、中心に位置する空洞を囲んで、まるい輪っかを作るがごとく均等な横並びの力関係を作るわけ。
この説がすべてとは思わないけど、日本型の談合とか突出した存在を嫌う社会構造をみるかぎり、無意識のうちにこうした中空平衡構造が影響しているような気がする。ちなみにこれとまったく正反対なのが、欧米のように中心に権力を集中させるリーダーシップ型の構造なんだよね。
話を織田信長に戻すと、社会秩序が混乱していた戦国時代は信長のような突出した武将が必要だった。でも時代の出口が見えかけたとき、信長の役割は終わったのだと思う。時代の流れは、ふたたび日本特有の権力構造である「輪」を重んじる流れへとシフトチェンジしようとしていた。そしてその兆候は大小さまざまな事件となって、表に現れていたにもかかわらず、信長はそれに気づかなかった。その意味では明智光秀もまた時代の意志を具現化するコマに過ぎなかった。もし信長が時代の意志のシグナルに気づいて方向性を変えていたら歴史は変わっていたかもしれない。
そもそも時代の意志ってなんだろう?
それはおそらく集合無意識というやつじゃないかと思う。
人間の精神には、自分ではなかなか意識できない「無意識」とか「潜在意識」とか呼ばれる領域があるのは知ってのとおり。集合無意識っていうのは、個人的な無意識の領域のさらに奥深くにあって、日本人どうし、アジア人どうし、そして最終的には、地球上の人間はもとよりあらゆる動植物すべてと繋がる無意識のことなんだよね。
日本人としての集合無意識の中に、調和を重んじる「輪」の意志、つまり中空平衡構造という鋳型があって、それがその時々で調整機能を果たしているのかもしれない。ところが今の時代は日本人の行動範囲がひろがり、さまざまな国との関係性やそれにともなう国際情勢は無視できなくなってきた。そのため日本人特有の「輪」の意志にくわえて、さらに深層にある地球人としての集合無意識が大きく影響をもちはじめている。
これは、日本人の長らく続いた中空平衡構造の歴史の中ではとても大きな転換期にあたる。どういうことかっていうと、長年慣れ親しんできた「輪」の意識だけでは今の時代には対応しきれなくなってきているってことなんだよね。
じゃあどうすればいいのか?
時代の激流の水底にあって、まるで黒潮のように大きな流れを作り出しているおおもとの意志を発見すること。言葉をかえれば、時代という黒潮の行き先を見極めること、そしてその波にのることが、これからの時代を生き延びる大きな鍵になる。
古今東西、この流れを読み、味方につけることが、すぐれた支配者の条件だった。
それは現代もかわらない。政治はもちろん、ビジネスの世界においてもこの資質の必要性はますます大きくなっている。なにより今の時代はごく普通のサラリーマンや主婦にこそ、こうした力が必要なんじゃないかな。もちろん自衛のためにね(笑)。
じゃあどうやってその流れを読むのか?
時代を動かす根底の意志っていうのは、それこそどんなに隠そうとしても、大小さまざまなキーワードという形で、ぷかぷかと流れの表面に浮かび上がってくるんだよね。それはちょうど黒潮にのって、さまざまな漂流物が砂浜に打ち寄せる姿に似ている。古代人は地球儀なんて知らなかっただろうけど、漂流物をみて黒潮の道を発見したのかもしれない。
現代の漂流物は身の回りの出来事やニュースという形でわたしたちの前に姿をあらわす。そしてニュースを眺めながら、表面に浮かび上がるキーワードをランダムにひろってゆくと共通点がみつかる。
たとえば最近のニュースでいうなら、二子部屋の若貴の確執、日韓の軋轢や北朝鮮の拉致問題・核実験、六カ国協議、西日本の水不足と新潟・東北の大雨。さらにちょっとさかのぼると、皇室内部での新旧の考え方の違いもあったね。
ここから読み取れるのは、「双子」あるいは「兄弟」、「相反するふたつの存在」というキーワード。
二子山部屋の確執は「二子・兄弟」の象徴そのまんまだよね。
北朝鮮と韓国は同じ民族だという意味で「兄弟」。
日本と朝鮮半島もそうで、弥生時代から古墳時代にかけて朝鮮半島経由で大量の渡来人がわたってきた。もとから日本列島に住んでいた縄文人と渡来人である弥生人の混血、それが今のおおかたの日本人のルーツだよね。その意味では、朝鮮半島に住むひとたちとは、もともとは同じ血をわけた兄弟だといってもいい。
六カ国協議の六という数字も、じつは象徴的に陰陽和合をあらわすんだよね。まあ・・
・このあたりは説明すると長くなるので、またの機会に譲るね。さらに双子でたどってゆくと、去年の紀伊半島沖の双子地震ってのもあったね。
ここ数日の関東や西日本における高温と水不足の気配。東北地方を中心とした大雨とは対照的だよね。これも陰陽という意味で双子という見方ができるんだよね。
ざっと見ると、ここ一年ぐらいは双子(兄弟・陰陽)というキーワードで世の中が動いているってことがわかる。
じゃあ双子は何を意味するのかっていうと、相反するもの、矛盾する二つのものの統合なんだよね。これがうまくできれば、1+1=3になる。同じなのでは意味がない。それぞれに違いがあるからこそ、ふたつの対立する力を生かすことができるっていう発想だよね。
たとえば身の回りの人間関係に双子のキーワードをあてはめるなら、もたれ合うのではなく、お互いの違いを生かすにはどうしたらいいのか? 際限ない妥協でもなく、一方的な自己主張でもない。対人関係だけじゃない。自分の心の中を冷静に眺めてみれば、いくつもの矛盾した感情が同時存在しているよね。マイナスの感情はつい抑圧しがちだけど、そうしたマイナスな自分もまた自分の中の一部。そんな自分を認めて、折り合いをつけてゆくと、それまでマイナスだと思っていた部分が魅力にかわる。
企業の戦略や新製品開発なんかも、双子のキーワードをうまく生かすと流れが味方してくれる。このいい例がトヨタのハイブリット車かも。知ってのとおりハイブリット車というのは普通のガソリンエンジンに電気モーターを組み合わせて走るんだよね。これ、双子そのものでしょ(笑)。当初は次世代の燃料電池車までのつなぎとして考えられていたんだろうけど、2004年の販売台数は国内では5万9770台、海外では6万5980台。さらにハイブリット技術が燃料電池車に応用できるらしいよね。
もっと深読みすれば、日本人じたいが弥生と縄文のハイブリットなんだから、その特性を生かせってな読みもできる。
こんなふうにニュースや身の回りの出来事から共通点をひろってゆくという方法をとれば、誰でも時代の根底に流れる潮流を読みとることができる。
それをそれぞれの専門分野や日々の生活にどう生かしてゆくかは、それこそ既存の意識にとらわれない柔軟な発想と動物的直感、
そして、
どこまで真摯に時代の深層からの警告を受け止めるかにかかっているのかもしれない。
文責・キョーコ
参考文献:田中角栄とその弟子たち―日本権力構造の悲劇
※ この原稿はH17.6/28、「現役雑誌記者による、ブログ調査分析報道」さんに寄稿掲載されたものです。