けっして表にでることのない闇はいまもそこにある。
「もしも、なんの社会的な制限もなく、自分の持って生まれた能力を100パーセント発揮できるとしたら何をやりたいです?」
「う〜ん・・・そうですねえ。もっと稼げる仕事をしたいですね」
「じゃ、稼げる仕事についたら、何を手に入れることができると思います?」
「金・・・もあるけど・・・・」
三十代後半の、なかなかナイスガイのクライアントさんはしばし考え込んだ。
「いや・・・やりがい、かな」
「じゃ、そのやりがいを手に入れたら、何を得ると思います?」
「充実感とか達成感・・・・自分も捨てたものじゃないなって気持ち・・・ですかね」
「なるほど。その気持ちをちょっと想像できます?」
クライアントさんは目をとじた。
ややあって、
「なんとなく・・・・。でも、いまひとつです」
「学生の頃、そんな気持ちを味わったことはないですか?」
「・・・・学生の頃か・・・・ああ、そうだ。むかし軽音部に所属していて、ライブをやったときの、あの感じはたまらなかったですね」
「いいですね。じゃ、そのときの気持ちを思い出して。そのとき、まわりではどんな音が聞こえていました? そのときの自分の体の感じを思い出せます? ギターを持っている手の感じとか」
こんにちは、キョーコです。
じつはこれはヒーリングセッションでのお客様との会話。ヒーリングではしばしばこんな会話をとおして、自分が本当は何を望んでいるのかを探してゆくんだよね。自分の本当に欲しいものが何なのかさえわかっていれば、ひとはそれほど大きく道に迷わない。まあ・・・その望みの内容は、それこそひとそれぞれだけどね。
上記のように、単純な質問を繰り返してゆくとシンプルな答えにたどりつく。そしてこんどはそれを手に入れたときの気持ちや体の感覚をイメージしてみる。これがうまくイメージできると、すっと肩の力がぬけて楽になることも多いんだよね。
じつは『イメージする』ことは心の安定やストレス軽減にはすごく効果がある。
たとえば・・・・・そうだなあ。
だまされたと思って、ちょっとレモンを思い浮かべてみて。黄色いレモンの色とか手触りとか・・・そう、そんな感じ。で、それをまな板の上でトントンとスライスしている姿を想像してほしい。包丁でスライスしてゆくと、レモンの酸っぱい汁があたりにじゅわっと飛び散って、まな板が濡れてゆくよね。ぜんぶスライスしたら、こんどはそれを手にとって、食べている自分を想像してみて。
どうだろう?
なんとなく口の中が酸っぱいような気分になったり、ひとによっては唾液がでたりするよね。これはレモンをイメージすることによって、脳が過去の「レモンを食べた」記憶を引っ張り出してきて、そのときに使った神経回路にアクセスするからなんだよね。つまり実際にはレモンを食べていないにもかかわらず、脳はイメージしたことを本物の体験として扱ってしまうわけ。その結果、味覚の知覚神経が刺激されて酸っぱく感じたり、さらにイメージ力の強いひとだったら、自律神経が唾液を分泌しろという命令を受け取って、ほんとに唾がでてくるんだよね。
言葉じゃこうはいかないよね。いくら言葉で「唾液をだせ」とか「心臓の鼓動を早めろ」と自律神経に命令しても、自律神経のほうはうんともすんとも反応しない(笑)。ところが怖い映画をみたら心臓がドキドキしてくるでしょ?
イメージひとつで心も体もカンタンに反応するんだよね。つまりイメージっていうのは、ふだんわたしたちが思っている以上に力があるんだよね。
こんなに効果のあるものを利用しない手はないというわけで、ヒーリングではこのイメージの力をよく使う。実際に温泉や旅行に行ってのんびりしたり、心身ともにリラックスできる生活ができるならそれに越したことはないよね。
でも現代人は忙しい。
そこで仕事の合間に、イメージ力を上手に使って、気持ちをリラックスさせることができたらストレスにもぐっと強くなるよね。この効果を狙って、自分で自分を癒す方法がセルフヒーリングってやつだ。セルフヒーリングは覚えるまでに数回のレッスンが必要だけど、いちど覚えてしまうと気持ちの切り替えがうまくなるので、これがなかなか重宝なんだよね。
唐突だけどリラクゼーションの効用は何だと思う?
気持ちよくなる。
疲れがとれる。
もちろんそれもある。でももっと大きな効果がある。
それはズバリ、脳の機能を正常の状態に戻すことなんだよね。
ストレスを受けて、それを苦痛だと感じている状態が長く続くと自律神経のバランスが崩れてくるんだよね。そうなると視野が狭くなって判断力が低下したり、いいアイデアが浮かばなくなったり、ようするに脳の機能が正常に働かなくなるわけ。逆にリラックスした状態で仕事ができるようになると、より現実に即した的確な判断をくだせるようになる。
そんなわけで最近ではビジネスの世界でもイメージを使ったヒーリングに興味をもつひとが増えている。見えない力と見える力を両方加味しつつ、物事を考えるのが本物のリアリストだと言ったのはだれだったか名前は忘れてしまったけど、より柔軟な発想のできる経営者が育ち始めているのは頼もしいかぎり。
ところで政治の世界ではどうなんだろう?
政治家にかかるストレスってのは相当なものがあると思うけど、政策や重要な懸案の判断に迷うことはないのかな?
じつはかれらにも、駆け込み寺のような場がある。
そこは世間一般にはほとんど知られていない小さなお寺なんだけど、有力な政界関係者が闇にまぎれて出入りしているらしい。で、かれらは判断に迷うと、そこに行ってひそかに御神託ならぬアドバイスをもらうのだとか。
なるほどね・・・・その結果が昨今の国際情勢なのか。
・・・っておい。
日本には近代国家としての表の顔とけっして公の場にでることのない裏の顔がある。古来から受け継がれてきた古神道をはじめとしたそれは、いまもしっかりこの国の行方を左右する場に影響力をあたえている。
でもさ、言っちゃ悪いけど、宗教界の固定観念と頭の固さはそうとうなものだよ。そうしたかれらに、この国の将来を左右する的確なアドバイスができるかどうかは、神のみぞ知る、だよね。
6月3日 キョーコ
※ この原稿はH17.6/5、「現役雑誌記者による、ブログ調査分析報道」さんに寄稿掲載されたものです。