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『昨今のヒーリング事情』   05 5/30初稿


つい先日、何人かの友人・知人にヒーリングって言葉を聞いてどんなイメージが浮かぶか聞いてみた。

・ リラックスできて、気持ちいい。心身ともに癒される。
・ ヒーリングのあとは自分の中心に戻れる。すると仕事とかいろんなことにたいして前向きになれて、どんどんクリエイティブになれる。
・ 許し、広がり、精神的な成長、
・ ゲームにでてくるキャラクター。癒しや蘇生、のろいなどを担当する。もちろん薬草の知識も豊富。メディスンマン
・ アロマ、ハーブティー、クリスタル、温泉、南の島、自然化粧品、整体、気功、マッサージ、バッチフラワー、パワースポット、ヒーリング音楽
・ 響きがあやしい。心理カウンセリングよりあいまいなイメージ。


 なるほど・・・聞いてみるもんだよね。自分が現場(ヒーリングと心理カウンセリングが仕事です)にいると、世間一般の認識と微妙にズレてくるんだよね。

そもそも日本でヒーリングって言葉が一般的に使われるようになったのはここ数年のことだよね。もう何年も前になるけど、ひと頃個人経営の占い師をやっていたことがあって、手持ちのメニューには占いのほかにヒーリングもあったんだよね。わざわざお金を払ってまで占ってほしいというお客さんは、ある意味あやしげな(笑)情報をキャッチするのが早い。お客層は主婦・OL・ビジネスマン・経営者と多岐にわたっていたけれど、共通するのはけっこうあちこちのお店を渡り歩いてきた占いフリークだってことだった。ところが1999年当時、そのかれらでさえ、ヒーリングって何ですかと質問してくることが多かった。  

ところが今ではヒーリングという言葉の認知度は格段にあがったよね。
ヒーリングっていうと、一般的には『癒し』という意味に受け取られることが多い。それはもちろん間違いじゃない。でも今回はヒーリンググッズをはじめとした広い意味での『癒し』ではなく、最近注目されはじめている心理療法のひとつのカテゴリとしての『ヒーリング』に焦点をあてて書いてみたいと思う。

ヒーリングHealingは日本語では癒しと訳され、その語源はギリシャ語のHolosで、全体という意味をもつ。そしてHolosから派生したのが、Whole(完全な)、Holy(聖なる)、Health(健康)といった言葉なんだよね。
このことからもわかるけど、ヒーリングという言葉の発祥地は欧米。そのベースは1960年代のカリフォルニアのエサレン研究所を中心とした人間性心理学やトランスパーソナル心理学なんだよね。もちろん人間性回復運動とかヒッピー文化やベトナム反戦運動などといった当時の時代背景も無縁じゃない。古い時代の価値観が崩れ、人間ひとりひとりの価値を模索していた時代、さまざまな試行錯誤を重ねながら、人間の心の仕組みというのがかなりわかってきたんだよね。

日々の生活のなかで蓄積されていくかストレスの大きな要因のひとつは、それぞれの考え方の癖(思考パターンという)なんだよね。じゃ、この考え方の癖はどうして作られるかといえば、それぞれの置かれた環境や子どもの頃からの人間関係の積み重ねによって作られる。もちろんさしたるストレスを感じることもなく、すべてがうまくいっているのであれば何の問題もない。けれどたいていの人間は多かれ少なかれストレスを感じているよね。

ストレスがたまっている状態っていうのは、ちょうど流れが悪い川みたいなものかな。川底に大きなゴミが溜まっていると、いまいち流れが悪かったり、場合によっては流れがせき止められてしまうよね。じゃこのゴミを掃除したらどうだろう? とたんに流れがよくなるよね。魚も棲むようになるかもしれない。
このゴミが心の傷だったり、そこまでひどくなくても、ものごとの流れを滞らせる考え方の癖だと思ってくれるとわかりやすいかもしれない。

唐突だけど、潜在意識という言葉を聞いたことがあるだろうか? 
わたしたちがふだん自覚できる顕在意識というのは、膨大な意識の領域の中の氷山の一角にすぎない。意識の九割は潜在意識(無意識)と呼ばれる領域で、ここにはあらゆる感情や子どもの頃の記憶や毎晩みる夢、まだ使っていない潜在能力などが収納されているわけ。そしてさきほど説明した考え方の癖ってやつも、この潜在意識にしまわれているんだよね。

そこで潜在意識にしまってあるトラウマやストレスの原因になる考え方を自覚して、より幅ひろい視野でそれをとらえなおすことによって、豊かな川の流れが取り戻すように自分の可能性を上手に使って、よりクリエイティブな人生を過ごそうよというのがヒーリングの目的なわけです。

話が戻るけど、エサレン研究所を中心としたカリフォルニアの人間性心理学派の研究者たちはこうした考え方にたって、さまざまな心理療法を開発していった。それは日本の一般的な心理クリニックで行われている『聴く』カウンセリングの範疇にとどまらず、気功や瞑想などの研究をとおして、人間の心身に作用する『気』の流れのコントロールもふくめて『癒しの技法』のベースをつくっていったわけ。これが『ヒーリング』と呼ばれるジャンルです。

さて日本ではどうかっていうと、本来のヒーリングの考え方が理解されているとは言い難い状況が長いこと続いていた。
90年代のヒーリングっていうと、ニューエイジの流れを汲んでいるものが多くて、きちんと心理学を学んだヒーラーはごく少数だったんじゃないかな。あるいはむかし社会問題にまでなった自己啓発セミナーや、ビジネスマンに人気のナポレオン・ヒルの成功哲学などにみられるように、潜在意識の効用にのみ焦点をあてたものも多かった。

ところがここにきて、時代の流れは大きく変わり始めているように感じる。
先行き不透明な時代、多くのひとが心のどこかで自分の核になるものをさがしはじめている。もちろんそれは既存の宗教とか絵に描いたような成功とか、そんなものじゃなくて、なにか自分のなかにあって、自分をささえてくれるものとでも言ったらいいかなあ。
 
知り合いの出版関係者からきいた話によると、マーフィーやナポレオン・ヒル関係の書籍の売り上げは着実に落ちているんだそうな。時代の流れが変わり、読者がそうしたステレオタイプの内容に納得しなくなったことが大きいらしい。

潜在意識の底の浅い使い方ではなく、人間としての精神的な成長とその延長線上にある創造力を使ったパワフルな生きるという発想に、ようやくすこしずつ時代が追いついてきたのかもしれない。

5月29日 キョーコ

※ この原稿はH17.5/30、「現役雑誌記者による、ブログ調査分析報道」さんに寄稿掲載されたものです。


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