8/14/2003




次元回廊


それはまるで 薄いすりガラスの扉を微妙にずらしながら
無限に重ね合わせたように見える
扉の向こうには無数の世界が広がっている
そのひとつひとつの世界に わずかに姿を変えたあなたが存在している

あなたが悲しむたびに 世界は悲鳴をあげる
あなたが笑うたびに ほんの一瞬 世界はまどろみから目を醒ます
一滴のしずくが落ちてゆく
やがて 波紋は永遠に広がりつづける

それもまた夢
すべては自分という名の神が見続ける夢
いや・・・・・・
 自分という概念すらも時が映し出す幻影に過ぎぬ
語り継がれる賢者の言葉さえ 時の狭間に浮かぶうたかたの唄
確かなものなど 何もない
そして――
あなたは何を信じるだろう?

おぼろげな意識のなかで夢を見る
十六夜の宵に扉がひらくよ
かすかなゆらぎの真ん中で
ほんの一瞬 すべてが重なる
かごめ かごめ
少女は静かに夢を見る・・・・・・

自分の存在すら不確かな世界の只中で
あなたは何を信じるだろう?

預言者の言葉か それともかすかな魂のささやきか

ただ自らの中に深く深く降りてゆく
唯一 そこにだけ 己の真実があるだろう
一瞬のきらめきのなかで 生まれる前の約束を思い出す
そのとき――
すべての揺らぎを永遠に還す真実の言葉を知るだろう