魂(ハイヤーセルフ)と潜在意識の物語
インナースペース ファンタジー
癒してゆく力
神というと、みなさんはどんなイメージを思い浮かべるでしょうか。
よく漫画や昔話などには人間の姿をした神さまが出てきますが、キョーコの感じる神というのは眩しい光そのもの、強力なエネルギーそのものです。
声が聞こえるとか姿形が見えるということはまったくありませんが、ただその光を感じているだけで、心が癒されて胸の奥から喜びが沸いてくるという感じでしょうか。
神というと日本ではあまり良いイメージがありませんよね。そこに宗教がからんでくるせいかもしれません。でも神々を意志をもった無数のエネルギー体であると考えるなら、まったく違ったとらえかたができるのではないでしょうか。
星々の運行を支配し、大地を動かし、癒しの雨を降らす。地球はもとより、広大な宇宙のすべての命を育み生かす。
その力こそ、神々すなわち無数の意志をもったエネルギー体の働きによるものです。
古代の人間たちは、自分たちが無数の神々によって生かされているということを知っていました。同時に自分たちを生かしている内なる神、すなわち自分自身の魂の存在をも素直に感じていたのかもしれません。
内なる神と、それをも生かす外の神。
そのどちらが欠けてもだめなのです。
人間の魂は日々の暮らしの中で成長していくとお話しましたね。同時に私たちを育んでくださっている大きな力をもつ神々との交流も必要なんです。
唐突ですが、悟りという言葉がありますね。
潜在意識をコントロールし、心を磨き、自分自身を高めていった先に、仏教でいうところの悟りというものがあるのかもしれません。ひとはなぜ悟りを求めるのでしょう? これは知り合いのお坊様が話してくれたのですが、いつか神を感じ無上の喜びと安らぎを感じたいから、自分はこの道にはいったのだと言っていました。
ここで、ちょっと考えてみてください。
悟らなければ神々と触れ合うことができないのなら、キョーコみたいな俗っぽい人間には一生かかってもできっこありません。
でもキョーコは神々の光のエネルギーを毎日たっぷりいただいています。
つまりキョーコでさえできるんだから、本来人間はみんな神々と交流できるんです。ただこれまでは、その方法を知らなかっただけです。
では、どうすれば神々と通じることができるのか?
神々の波長に、自分自身の心のチャンネルを合わせればいいんです。
神々の波長って? それは愛と感謝の心です。大切なわが子を思う母のように、あるいは敬愛する父親を思うときのように、素直なおだやかな心で「光をください・・・」と思うだけです。それだけで神々とつながります。
神々と交流することで、まるで光ファイバーのように、人間の頭脳を遙かに越えた神の叡智が心の中に流れ込んできます。神の光を浴びることによって、わたしたちの魂もまたどんどん霊格を向上させてゆきます。
魂が成長するとどうなるでしょう? 魂のわたしたちを守護する力が強くなります。そして必要な物事を引き寄せ、わたしたちが心から願っている人生へと、魂自身が導いてくれます。
魂(=ハイアーセルフ)と会話したいという声をよく聞きます。
でもね、ちょっと待ってください。
本来成長した魂というものは、人間と会話するような通信方法はとらないんですよ。たとえば声が聞えるとか、質問に細かくわかりやすく答えてくれるとか、そういう方法はとりません。
悩んでいるときや苦しんでいるとき、自分自身の魂にたいして祈りかけると、胸の奥がぽっと暖かくなったり、ふっと気持ちが楽になったりします。それが魂からあなたへの無言の愛であり言葉なんです。
魂も神々も人間の道具ではないんです。
たとえば一週間先に起きる出来事がわかったら、おもしろいなと思うかもしれません。でもそんなことは一週間待てばいやでもわかります(笑い)。
サイキックや霊能力なんて必要ないんですよ。特別な人間である必要はありません。
ただ、愛する心さえあれば、神々とも自分自身の魂とも交流することができます。
何世紀にもわたって、多くの人々は直接神々と交流することができませんでした。だから、一部の教祖といわれるひとたちに中継してもらうしかなかったのです。
でもこれからは個人と神々が直接結びつく時代になります。個人と神々が一対一でつながれば、もう団体も教祖も必要ありません。
本当の意味で、自分の人生を自分自身で切り拓いてゆくことができるようになります。
キョーコはたぶん、その方法を教えることはできます。
でも、その先はあなた自身の足で歩いていってください。
新しい時代は、もうそこまできているのですから。
最後にサトルがどうなったのか聞いてくださいね。
サトルの物語 3
宮古島に着くとサトルは翌日からすぐに取材に取りかかった。
午前中の取材が終わり、夜は酒造メーカーが紹介してくれた居酒屋をまわるつもりだった。
そんなわけで、夜まで時間があいたので、サトルは暇つぶしに宿のちかくの海岸にいってみることにした。
畑の真ん中の小道を歩いてゆくと、大きなガジュマルの木があった。
ガジュマルの木には赤い顔に赤い髪の子供の姿をした妖怪キジムナーが棲むといわれ、青々と生い茂る濃い緑がいかにも南国らしい。
「ガジュマルの木・・・?」
サトルはどきっとした。
突然、いても立ってもいられないような気持ちに駆られて、サトルは足早に歩きはじめた。
心臓が早鐘のように鳴っている。
畑の向こうに白砂の急坂が見えてきた。
サトルは一気にスロープを駆け上った。
なんども深い砂に足をとられ、そのたびに転びそうになった。日ごろの運動不足を後悔しながらも、ようやくいちばん上までたどりついた瞬間、サトルは息をのんだ。
かすかな潮風の匂い。
ゆるやかな砂のスロープの向こうに、どこまでも続くエメラルドグリーンの透明な海がひろがっていた。
それは、幾度となく夢でみた風景だった。
この風も空気の匂いも、足のうらにへばりつく砂のざらざらとした感触さえも、すべて知っていた。
そして――
サトルはいっきに急坂を駆け下りた。
ちいさな予感に、はちきれそうになる胸の高まりを押さえながら夢中で走った。
そんなにあわてなくても、逃げたりしないって・・・。
誰かが耳もとで笑った気がしたが、かまわなかった。
波打ちぎわに立っていたミーコはなにかが動きはじめる気配を感じて、ゆっくりと振り向いた。
その瞳がわずかにおおきくなった。
砂山の向こうから、誰かが息をきらしながら駆けてくる。
(あれ・・・)
遠目でよくわからないが、こんな光景を前にもどこかで見たことがあるような気がした。
(なんだろう・・・? この感じ・・・)
坂を降りきったところで、いきなり男がころんだ。
ミーコの瞳にびっくりしたような表情が浮かんだ。
男はあわてて立ち上がると、ジーパンについた砂を払った。
一瞬、男と目があった。
「へんな奴・・・」
ミーコは声をあげて笑いだした。
その胸の奥に、どこかなつかしさにも似た予感を感じながら――。