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宮古・池間島旅行記 2005.9.8〜9.11


4 アマウナハーブ  カギンミの森

カギンミ(美しい峰)

カギンミから見た海
カギンミから見た海
 目の前の海に感動しつつ、ひょいと下をみると、高さ数十メートルはありそうな高い崖になっていた。
 海を渡る風が心地いい。
 ここはカギンミと呼ばれていて、美しい峰という意味なのだそうだ。
 
「う〜ん・・・もうちょっと向こうだったかなあ」



 仲間さんがうなっている。 
 どうやら微妙に場所がずれていたらしい。
 ここは自然のままの崖っぷちなので景色は抜群だけど、崖沿いに移動するのはかなり危険がともなう。そこでいったんサトウキビ畑の側道に戻って、入り口をずらしてもう一度チャレンジすることになった。

 ふたたびアダンの森を引き返す。
 
 二回目のチャレンジでもアマウナハーブを見つけることができなかった。
 草の上にすわって休憩していると、崖っぷちのわずかな平地をつたってアマウナハーブを探しにいった仲間さんが戻ってきた。

「章郎(アキオ)どうだった?」
「あった。でも片方は枝が覆いかぶさっていて、ありゃ危ないなあ。もうひとつはなんとか行けそうだ」
「じゃ、そっちに行ってみる?」
「そうだな。崖沿いに行くのは無理だから、いちど引き返して、あの木を目印に行こう」
10メートルぐらい向こうに、まわりの茂みよりいくぶん背の高い木が見える。

崖伝いにアマウナハーブを探す仲間さん
崖伝いにアマウナハーブを探す仲間さん


「望月さん、行ける?」
 新崎さんが気を遣ってそう言ってくれた。
「もちろん。行きたい」
 わたしがそう答えると新崎さんの顔に笑みが浮かんだ。
「よし。行こうか」



 わたしたちはふたたび来た道を引き返した。
 なんだかみんな楽しそうなんだよね。
 森の中で夢中でアマウナハーブを探している姿はまるで子どもみたいなんだけど、新崎さんも、仲間さんも、友人Kも、みんないい顔してるんだよね。じつを言うと、わたしもジャングル探検がこんなにおもしろいなんて知らなかった(爆)。
 
 三度目のチャレンジでも、目印の場所にたどりつくことはできなかった。
 どうやら以前来たとき通った道が、ここ何年かでアダンの茂みにおおわれてしまったらしいんだよね。

「章郎、以前はいつ来たの?」
「マスコミを連れてきたときだから、7、8年前だったかな」
「それから行ってないの?」
「うん」

 仲間さんが一生懸命探してくれたけど、大きなアマウナハーブのあたりはブッシュで覆われているため、今の装備ではそれ以上近づくのは無理ということになった。
 アマウナハーブは見つけることができなかったけど、アダンの森の向こうで見た海の青さはたぶん一生忘れない。アダンの葉の痛さや炎天下の暑さも、あの一瞬で報われた気がした。

干潮の岩場で

 わたしたちは次のアマウナハーブに向かった。
 サトウキビ畑の狭い農道の突き当たりに車を停めると外にでた。

「こんどはジャングルじゃないですよ(笑)」
 新崎さんにそう言われて思わず苦笑するわたしとK。

 畑の横の茂みにはいると5メートルぐらいの急勾配の道というか崖があって、その下は砂浜になっていた。
 見ると足元にロープが垂れている。

 ・・・・このロープって・・・・・もしかして?

 先頭を行く仲間さんがロープをつたってするすると崖を降りてゆく。

 やっぱりー(爆)!!

 さすがにアダンの森をさんざん歩いたあとだからね。
 このぐらいじゃ動揺しないって(笑)。
 
 ロープをつたって下に降りると、開けた砂浜にでた。
 海風が気持ちいい。
 岩場のあたりまでくると、ちょうど干潮時らしくて、あちこちに潮溜まりがある。
 Kが熱心に潮溜まりを覗き込んで魚を探している。

 アマウナハーブがなぜできたのかについては、大きくわけるとふたつの説がある。
 ひとつはポールポット説。
 ポールポットというのは、くぼみの中にある石ころが水流によってくるくると転がり、周囲の岩を削り取ってできる穴のことで、アマウナハーブもそうしてできたのではないかというんだよね。ただ、それだけで何十メートルもある深い穴ができるかは疑問がある。

 もうひとつは、椰子の大木が生えていたあとじゃないかというもの。
 池間島は二度ほど隆起と沈降を繰り返しているという。これはあくまでも仮説に過ぎないけれど、まだ池間島が沈んでいなかった頃、島には椰子の木がたくさん生えていた。ところがちょうど更新世後半、今から2万数千年前あたりから始まった活発な地殻変動と温暖化による海面上昇によって池間島は海底に沈んだ。やがて海底に沈んだ椰子は長い年月をかけて石灰化していった。

「石灰化ですか?」
「うん。ロープなんかを海につけたままにしておくと、一年で石灰化するよ」
 砂浜を歩きながら仲間さんが言った。

 だとしたら、運よく地面に生えたまま水中に沈んだ椰子の木が石灰化するというのもじゅうぶんありえる話だよね。海底に沈んでいるあいだに、椰子の木の周囲にはびっしりと珊瑚が群生してもおかしくない。やがて最後の隆起がはじまり、島がふたたび陸上に姿をあらわし、珊瑚岩の中にある椰子の本体が脱落。かくして空洞ができたという説はかなり信憑性があるような気がする。どこだったかの学者さんがこの説を唱えているんだけど、証拠が見つかっていないため証明できないらしい。

 岩礁地帯に近づいてきた。
 砂浜はそこで行き止まりだ。
 
 新崎さんが靴を脱いで、ズボンのすそをたくしあげている。
「ここにハーブがあるんだけど、はだしにならなきゃ行けないなあ」

 砂浜の行き止まりの海に面した崖は波に浸食されて、洞窟のように内側が大きくえぐられている。どうやらアマウナハーブはその内側にあるらしい。
 わたしもサンダルを脱いで、膝までズボンをたくしあげると、新崎さんたちのあとに続いた。

 水が生ぬるくて気持ちいい。
 砂浜からはハーブの岩場まではすぐなんだけど、波が打ち寄せると膝あたりまで水がくるんだよね。満潮になったら、わたしの腰ぐらいまで水がくるんだろうなあ。
 
洞窟入り口の天井にあるのアマウナハーブ
写真は下から撮ったところ
洞窟入り口の天井にあるのアマウナハーブ

 
 えぐれた部分にたどりつくと、仲間さんが上を指差した。
 ちょうど入り口のせり出した天井の岩に、直径50センチほどの竪穴があいているのが見える。







「わあ・・・・」
やっぱりこうして崖にあるハーブをみると感動もひとしお。
洞窟奥のアマウナハーブ
洞窟奥のアマウナハーブ


 洞窟の内部に上陸すると、尖った岩が足の裏にあたって痛い。
 洞窟の奥のアマウナハーブは、まっすぐ天井を突き抜けている。記憶があいまいなんだけど、深さは4メートルぐらいあったんじゃないかなあ。写真では上部がふさがっているようにみえるけど、じつはハーブの上に草木が覆いかぶさっていて、その隙間から空が見えるんだよね。