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宮古・池間島旅行記 2005.9.8〜9.11



2 池間島のミャークヅツ  ムトゥ

真謝(マジャ)ムトゥ

マジャムトゥからみた海
マジャムトゥからみた海

 翌日、新崎さんがマジャムトゥの長老に紹介してくれるというので、わたしたちは早朝から池間島に向かった。公民館前の広場につくと、すでに新崎さんが待っていた。
 なんせミャークヅツのときは朝の4時から飲み始めるんだっていうからすごい。


 マジャムトゥは池間島のいちばん古い血筋にあたる。『池間民族屋号集』によると、1305年久米島仲里間切真謝村出身の三兄弟が池間島に上陸して、ウイバラの池間村に定住して池間島の基礎を築いたといわれているんだよね。1500年頃には10軒ほどの家ができ、そこから人口が増えるにしたがって、徐々に島の西側に広がっていったのだという。

 ウハルズを通り過ぎて1分ほど歩くと、ムトゥと呼ばれる集会所の建物が四軒ほどあった。そのいちばん奥の建物がマジャムトゥだ。
 中にあがると、ちょうど長老がカラオケをうたっているところだった。わたしたちを見ると、新崎さんの同級生の長嶺さんがさっそくミルク酒を振舞ってくれた。

「長老の歌が終わったら紹介するからね」

 そう言って、今朝釣ったばかりのまぐろの刺身をすすめてくれる。
 さすが海人の島! 酢としょうゆで味付けをされた取り立てのマグロのお刺身はとってもおいしかった。

ミルク酒、マグロの刺身、から揚げ
ミルク酒、マグロの刺身、から揚げ


 歌が終わり、長老から声がかかった。
 集会所の上座にある神棚の下にすわっている長老の前におずおずとすすみでると、長老は厳かに神様に祈りをささげ始めた。とても神聖な空気が流れていて、わたしたちも黙って手を合わせた。

 祈りが終わると、おもむろにマイクを渡された。

「まずは歌うか踊るかするのが決まりだよ」
「え゛?」

 そう言われて頭の中が真っ白に・・・・・・。そんな話は聞いてないってば(滝汗)。
 でもこの場をスルーするのは許されそうにない。というか、せっかく歓迎してくれているのに、そりゃ失礼にあたるよね。
 こりゃ歌うっきゃないっしょ(爆)。

熱唱中 マジャムトゥにて


 朝っぱらからシラフでというのもなんだけど、Kは得意の演歌を披露。
 続いて、わたしも元ちとせの「いつか風になる日」を熱唱。




 
 最初は緊張したけれど、それも出だしだけ。歌いはじめればすぐに気持ちよくなって、もっと歌いたい気分になった(爆)。なんとか唄い終わって、席に戻ってミルク酒で乾杯。

 「歌、うまいね。プロの歌手?」
 そう言われて、ちょっぴり嬉しかった。
 池間島のひとは、なんてオープンハートなのかしらん。
 感謝(笑)。

ムトゥの裏手の貝塚と石垣跡
 長嶺さんに説明を受ける
ムトゥの裏手の貝塚と石垣跡

 お刺身とミルク酒をいただいていると、長嶺さんがムトゥの裏手に貝塚があると言う。

 さっそくムトゥの裏手にまわると、サンゴ石を積み上げた石垣や屋敷跡のそばに、大きなシャコ貝やサザエなどが無造作に捨ててある。

 500年ぐらい前、最初に島に上陸した祖先たちが捨てたものなのだという。かれらの住んでいた家はもうないけれど、サンゴ石を積み重ねた石垣が、むかしここに人が住んでいたことを無言で物語っていた。

 貝塚を見たあと、わたしたちは長嶺さんの案内で遠見台にのぼった。
 うっそうとした森のなかの細い道を登ってゆくと急な石段にでた。
 石段を登ると、ぱっとあたりが開けた。
 サンゴ石で囲まれたわずかばかりの空間があって、そこから集落や池間漁港がよく見渡せた。

「ここが島ではいちばん高い場所なんだよ」

 むかしはカツオ船が戻る時間になると、子供たちは遠見台にのぼって、自分の父親の乗る船をさがしたのだという。船のほうもその日の収穫がひと目でわかるように、収穫に応じてそれぞれ旗を立てる。大漁なら船が戻る前にカツオ工場の準備が始まり、とたんに島全体が活気づく。

「むかしは、よくここで遊んだなあ」
 長嶺さんがそう言うと、新崎さんも懐かしそうにうなづいた。
「手伝いをすると、カツオを一匹もらえたりね」

 う〜ん・・・・ご褒美にカツオっていうのもすごい。

 遠見台を見終わって長嶺さんと別れ、車に戻ろうと坂を下りていたときだった。
 ちょうどウハルズの前にきたとき、ぽつんと雨粒が顔にあたった。

 雨?

 やがて大粒の雨が降ってきた。
 わたしたちはあわてて駆けだした。
 なんとか車に戻ったけど、しだいに雨足が強くなってゆく。
 もう土砂降り状態。

 とりあえず次の目的地アマウナハーブは午後からにして、いったん新崎さんと別れ、わたしたちは池間大橋の売店で食事をとることにした。
 このときわたしたちは、午後から想定外のアドベンチャーをすることになるのをまだ知らなかった。